2017-01-01から1年間の記事一覧
巻4第29話 天竺山人見入定人語 第廿九 今は昔、天竺に山がありました。かぎりなく峻厳でした。 釈尊が入滅したのちのある日のことです。その山が落雷によって崩れました。崩れた山に入ると、ひとりの比丘(僧侶)がおりました。身体は枯れ乾き、目をつぶって…
芥川初期の代表作『鼻』『芋粥』『羅生門』は『今昔物語集』に材をとっている。 『羅生門』は黒澤明が映画にし、ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞、アカデミー賞特別賞を受賞した。「世界のクロサワ」と呼ばれるようになったのはこの後だ。 ……と、ウンチクを…
巻4第28話 天竺白檀観音現身語 第廿八 今は昔、釈迦が涅槃に入った後のことです。摩訶陀(まがだ)国に伽藍がありました。名を□□寺といいます。その寺の堂に、白檀(びゃくだん)の観音菩薩の像がありました。 たいへん霊験あらたかで、常に数十人の人が詣で…
今昔物語集 巻四 護法清弁二菩薩空有諍語 第廿七 今は昔、天竺の摩訶陀(まがだ)国に、護法菩薩という聖人がありました。世親菩薩の弟子です。教法をひろめ、智恵甚深なることで、人に勝っていました。その門徒も多くありました。 同じころ、清弁菩薩という…
今昔物語集 巻5第13話 三獣行菩薩道兎焼身語 第十三 今は昔、天竺に兎・狐・猿、三匹の獣がいました。彼らは誠の心を起こして菩薩の修行をしていました。「わたしたちは前世に深く重い罪を負い、賤しい獣として生を受けた。これは前世に生きとし生ける者をあ…
今昔物語集 巻7第1話 唐玄宗初供養大般若経語 第一 今は昔、震旦は唐の玄宗(正しくは高宗)皇帝の御代に、玄奘三蔵が『大般若経』の翻訳に取りかかりました。玉華寺という大伽藍にこもり、梵語から漢語に訳したものを寂照や慶賀らその寺の高僧に筆記しても…
今昔物語集 巻4第26話 無着世親二菩薩伝法語 第廿六 今は昔、仏滅後九百年のころ、中天竺の阿輸遮国というところに、無着菩薩という聖人がいらっしゃいました。智恵甚深、弘誓広大でした。夜は兜率天に昇って弥勒の御許で大乗の法を学び、昼は閻浮堤(人間界…
今昔物語集巻4第25話 龍樹提婆二菩薩伝法語 第廿五 今は昔、西天竺に竜樹菩薩という聖人がいらっしゃいました。智恵は無量、慈悲は広大でありました。また、そのころ中天竺に提婆菩薩という方がいらっしゃいました。この人もさとりが深く、法を広めたいとい…
今昔物語集巻四 竜樹、俗の時、穏形を作る語、第廿四 今は昔、竜樹菩薩という聖人がありました。智恵は無量、慈悲は広大な方です。俗に在ったときは、外道(仏教以外の教)の典籍を学んでいました。そのころ、二人と示し合わせて穏形の(透明人間になる)薬…
●お仕事 現在、 【翻訳】【校正】【協力】【解説】と4つのポジションを用意しています。どの関わり方をして下さっても、クレジットはいたします。 ただし、【解説】は【翻訳】とセットです。【解説】のみの希望は受けつけておりません。【協力】とは経済的…
【原文】 巻5第1話 僧迦羅五百人商人共至羅刹国語 第一 [やたがらすナビ] 【翻訳】草野真一 【校正】草野真一 【協力】草野真一 【解説】 草野真一 この話は釈迦の本生譚(前世の物語)のひとつとされていて、ジャータカ(本生譚を集めたもの)にも記載があ…
(今昔物語集巻五 僧迦羅五百人商人共至羅刹国語 第一) 今は昔、天竺に僧迦羅という人がいました。五百の商人を乗せて船に乗り南海に進んでいきましたが、にわかに逆風が起こって矢を射るように船を南に運んでいってしましました。やがて船は大きな島に至り…